N95?DS2?防塵マスクの種類と規格区分
近年のPM2.5対策で注目されている防塵マスク。他にも火山灰対策やウイルス対策など様々な目的に使用できる優れたマスクです。
防塵マスクには特徴や性能によって様々な種類があり、安全を認められた規格というものもあります。ここではそんな防塵マスクの種類と規格などについて紹介していきます。
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防塵マスクの種類
レスピレーターや呼吸用保護具などの呼び名もある粉塵マスクには、大きく分けて2つ種類があります。
- 使い捨て式
- 取替え式
使い捨て式は普通のマスクと同じように、使用するごとに捨てて、新しいマスクに取り替えていくタイプです。以下の画像(左)のような見た目です。リーズナブルで導入しやすく、一般的に使用されているのが使い捨て式粉塵マスクです。PM2.5対策やウイルス対策などで使用している人も中にはいるかと思います。
取替え式は、名前の通りフィルターを交換することによって繰り返し使用できるタイプの防塵マスクです。以下の画像(右)のようなタイプが取替え式粉塵マスクです。
使い捨て式 | 取替え式 |
ドラマや映画でありそうなマスクですよね。両側についているフィルター部分を交換することで繰り返し使用していくことができます。取替え式粉塵マスクは普段使いというわけではなく、仕事で特殊な作業が必要な時や災害時などの特定の状況下での使用に向いています。
近年問題となっているPM2.5や黄砂対策、他にはインフルエンザや花粉対策などは、導入しやすい使い捨てタイプの防塵マスクを使用することをおすすめします。
防塵マスクの規格・区分
防塵マスクの規格・区分には様々な種類があります。マスクの特徴やフィルターの性能などによって分類されていますし、日本とアメリカにそれぞれ規格が設けられています。
種類ももちろんですが、どのような違いがあるかも理解しておいて損はありません。
日本の規格(国家検定規格)
日本の規格(以下、国家検定規格)の防塵マスクは、3つのポイントによって定められています。
- 使い捨て式か取替え式か
- 試験粒子に塩化ナトリウム(固体)とフタル酸ジオクチル(液体)のどちらを使用したか
- 粒子捕集効率
この3ポイントによって合計12種類の規格が存在します。どの種類かによって国家検定規格の表記がそれぞれ違うので、どのように違っているのか3つのポイントごとに紹介していきます。
使い捨て式か取替え式か
使い捨て式の場合は「D」、取替え式の場合は「R」が頭に表記されます。最も一般的な粉塵マスクの規格にDS2がありますが、この「D」は使い捨てという意味を持っていることになります。
ちなみに国家検定規格では使い捨て式が使用できない作業があります。ダイオキシン類の粉塵や放射性物質に対策しなければいけない作業には、どんなに高性能なフィルターでも使い捨て式は使用することができず、取替え式を使用する必要があります。
試験粒子に塩化ナトリウム(固体)とフタル酸ジオクチル(液体)のどちらを使用したか
粒子の捕集試験を行った時に塩化ナトリウム(固体)を使用した場合は「S」、フタル酸ジオクチル(液体)を使用した場合は「L」が表記されます。上記ポイントと同じようにDS2で例えると、この「S」の部分は捕集試験に塩化ナトリウム(固体)を使用したということになります。
では「S」と「L」でどのような違いがあるのか。例として挙げると、粉塵に対策する為に粉塵マスクを付けるわけですが、粉塵にオイルミストが混在している場合があります。工業にある機械から飛散する油がオイルミストです。
オイルミストが粉塵に含まれていると、固体で試験を行った「S」では対応できないことになってしまい、液体で試験を行った「L」が対応できるということになります。
オイルミストに限らず液体への対策も必要な場合は「S」が付いた国家検定規格のマスクは使用できません。
粒子捕集効率
粒子捕集効率は区分と呼ばれています。DS2で例えると「2」の部分が区分2ということになります。
0.1μm~0.3μm程度のフィルターで捕集しにくいと言われる大きさの微粒子を使って試験を行い、どれくらい捕集できたかパーセンテージを計測し、それによって区分が分けられています。
- 区分1
捕集効率80.0%以上 - 区分2
捕集効率95.0%以上 - 区分3
捕集効率99.9%以上
この区分によってフィルターの性能がわかるわけですね。一般的なPM2.5や黄砂、ウイルス対策をする場合は区分2で十分です。区分3を使ってはいけないわけではありませんが、フィルターが高性能な分息苦しく感じしてしまう可能性があります。
国家検定規約をクリアしたマスクにおいては、DS2などと呼ばれることもありますが、使い捨てマスクであることを前提に区分2とだけ呼ばれている場合もあります。商品購入の際はDS2か区分2を目安に選んでみてください。
アメリカの規格(NIOSH)
アメリカ労働安全衛生研究所(National Institute of Occupational Safety and Health:略称NIOSH)が、以下の2つのポイントで規格を定めています。
- 油に対する耐性
- 微粒子除去性能
この2つのポイントによって規格が全部で9種類存在しています。
NIOSHの9規格 | 微粒子除去 | |||
95 | 99 | 100 | ||
油に対する耐性 | N | N95 | N99 | N100 |
R | R95 | R99 | R100 | |
P | P95 | P99 | P100 |
油に対する耐性
耐油性によって3つに分けられており、それぞれの頭文字が規格として表記されます。
- N
Not resistant to oil:耐油性無し - R
Resistant to oil:耐油性有り - P
Oil Proof:防油性有り
PM2.5対策などに使われるN95のような一般的な防塵マスクは、耐油性が必要ではないので「N」という表記になっています。逆に機械から飛散されるオイルミストが粉塵と混在してる場合は、耐油性などが必要になるので「R」などの表記のマスクが必要ですし、特殊な分コストは高めになっています。
微粒子除去性能
0.1~0.3μmの微粒子を何パーセント以上除去できるかによっても表記が分けられています。
- 95
0.1~0.3μmの微粒子を95%以上除去できる性能 - 99
0.1~0.3μmの微粒子を99%以上除去できる性能 - 100
0.1~0.3μmの微粒子を99.97%以上除去できる性能
どれくらい除去できるかによって3段階に分けられています。N95で例えるなら「耐油性がなく、0.1~0.3μmの微粒子を95%以上除去できる性能」のマスクであることがわかります。PM2.5の粒子サイズは1.0μm~2.5μmなので、95でも十分PM2.5に対策することができます。
N95とDS2について
PM2.5対策や黄砂対策などで粉塵マスクを探しているとよく見かけるのが「N95」と「DS2」です。どのような意味かは上述しましたが、今まではなんとなくで選んでいた人もいるのではないでしょうか。
N95とDS2を比較するとわかりますが、ほぼ同じ性能のマスクであることがわかります。違いを挙げるなら日本の規格かアメリカの規格かの違いだけなので、性能で迷った場合はどちらでも一緒ということを覚えておきましょう。
性能は一緒なのでその他の判断基準としては、「日本の規格の方が安全そう」とか「アメリカの方が最新技術っぽい」など何となくで選んでしまっても問題ありません。何度も言いますがほぼ性能が一緒なので。
N95とDS2の性能としては、日常で使えるレベルのマスクとしては十分です。PM2.5や黄砂、ウイルス、花粉など幅広い目的に使用できる性能のマスクです。
防塵マスクの有名なメーカー
防塵マスクの主要メーカーを以下で紹介していきます。どれも安心して使用することができる高品質な防塵マスクを展開しているので、メーカーの特徴をチェックして自分の好みの防塵マスクメーカーを選んでみてください。
3M
防塵マスクにおいて抜群の知名度を誇っているのが3Mです。防塵マスクだけでなく様々な分野で活躍しているメーカーであり、防塵マスクにおいても高い人気があります。
厳密にはスリーエムヘルスケアが防塵マスクを取り扱っており、東日本大震災直後は防塵マスク数万枚を無償で提供しています。防塵マスクで迷ってしまった時に選べば間違いないメーカーのひとつなので、チェックしておくことをお勧めします。
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シゲマツ(重松製作所)
1917年に創業されたおよそ100年の歴史を持つ保護具の専門メーカーがシゲマツです。防塵マスクと防毒マスクなどの呼吸保護具を中心に取り扱っており、危険を伴う仕事としている人たちを職業病から守り、サポートしてきた実績のあるメーカーです。
品質保証の国際規格であるISOを取得しており、日本はもちろんですが世界的にも評価が高いメーカーです。シゲマツが展開している防塵マスクは評価だけでなく人気も高く、安心できる国産なのも魅力的なメーカーです。
東日本大震災においても防塵マスク数万枚を無償提供しています。
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興研
1943年に創業された日本の防塵マスクメーカーです。防塵マスクを中心に、防毒マスクや送気マスクの設計・製造を行っています。歴史も長く、病院で感染症対策に使用されるほどの品質を誇っているのが魅力です。
使い捨て防じんマスクは若干価格が高めではありますが、安心して使用できる国産の高品質な防塵マスクです。
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